ニコンの2025年3月期の決算報告が発表されましたね。
ニコンには様々なセグメントがありますが、カメラに関する部分で言えば映像ですね。売上の約40%程度が映像部門のようで、その売上は2,953億円。以下は映像部門に関する決算報告からの引用です。
2025年3月期 通期:映像事業
- 前年比:売上収益 +156億円、営業利益 ▲52億円
- 前回予想比:売上収益 ▲97億円、営業利益 ▲57億円
【前年比】- レンズ交換式デジタルカメラ市場は中国を中心に拡大
- 新製品(Z6III、Z50II)を中心にミラーレスカメラおよび交換レンズの販売数量が増加したことに加え、円安効果もあり増収
- 低調なシネマ業界の影響を受けたRED社の営業赤字に加え、MRMC社*固定資産減損損失等の一時費用を計上し、減益
【前回予想比】
- 製品ミックスの変化により交換レンズの販売が計画未達となり、売上収益は下振れ
- 加えて、一時費用が発生し、営業利益下振れ
この決算から分かるのはZ6ⅢやZ50Ⅱはよく売れているみたいです。一方でRED社買収が足を引っ張ってしまったとのことで、今後に期待ですね。レンズ販売計画未達が気になりますが、質疑応答資料に回答がありました。以下引用です。
Q︓ 映像事業において前期実績が 2 月予想より下回った理由は︖特に交換レンズが計画を下回ったのはなぜか︖今期の映像事業の見通しは︖
A︓ これまで成長が著しかった中国市場で 2024 年末頃から市況が停滞し高級機を中心に市中在庫が溜まったこと、米国では 2 月以降経済の先行き不透明感等による消費者の買い控えが起きたことから、それぞれ計画を下回りました。想定より APS-C サイズのカメラの販売割合が多くなった結果、交換レンズの付帯率が低下し、レンズ販売が計画未達となりました。
今期は、Z5II をはじめとする新製品を中心に販売数量の増加を見込んでいますが、ボリュームゾーン機種の割合が増加することから平均販売単価は低下し、前期並みの売上収益を見込んでいます。
中国は政治的にリスクがあるものの、やはりマーケットとしては重要ですよね。中国での販売不振とAPS-Cの販売が多くなった結果、レンズも売れなくなってしまったとのこと。APS-Cの購買層はレンズをあれこれ買うより、キットレンズを買って終わり、という方も多いと思います。そこから先にに沼にはまるかどうかが大事。
2026年度の予想もパッとしない感じですね。質疑応答にもありますが、言ってみればコスパの良いカメラが売れるだろうから売り上げはそれほど上がらないという予想。私のような消費者からすればZ5Ⅱのようなコスパの良いカメラはありがたいですが、企業からすると売れるけど儲からないので悩みどころですね。でもZ5Ⅱからカメラの魅力に気づく人も多いと思うので、レンズの売り上げも増えると期待したいところ。
以下は2026年度の見込みについての引用です。
2026年3月期 通期見通し:映像事業
前年比:売上収益 ▲3億円、営業利益 ▲13億円
- レンズ交換式デジタルカメラ市場は引き続き堅調に推移すると予想
- Z9の先進技術を展開したボリュームゾーン(新製品Z5IIや好調なZ50II)を中心に販売数量の増加を見込むものの平均販売単価は低下し、売上収益は前年並みを見込む
- 為替の円高影響もあり減益
ニコンの見通しは暗い感じです。とはいえ景気には波がありますから、今が谷、そのうち山となるでしょう。良いカメラ、良いレンズを作り続けていただければ、自ずと決算もついてくるはずなので、これからも応援したいと思います。
以上、ニコンの2025年3月期の決算報告でした。
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